2022年07月28日

風土と国家

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風土と国家



いつのまにか、伝統とか共同体とか風土とかいう話にな
ると、ナショナリズムと誤解されるようになりました。
困ったことです。言っときますが、それこそ思うつぼ
といったところで。
だって、国家とはそういうものの尊い犠牲の上に成り立
っているからです。戦争でもしようかというときだけ、
持ち出してきて人々の愛国心を駆り立てます。
これはお前たちのムラとかサトを守るための戦いなんだ
と言います。
でも戦争が終わるやいなや、せっせとそれらを壊すこと
に余念がないのが、ナショナリズムに他なりません。
ナショナリズムや国家主義とは、中央集権という求心力
で動くシステムのことであり、遠心力が働くムラやサト
の文化とは親の仇同士のようなものです。
近代の国民国家なるものは、それまでの独立していた地
域や、そこに成立していた共同体や伝統や風土を暴力的
に破壊することで築かれたものでした。
そこのところを混同してしまうと、思うつぼにはまるこ
とになります。
ところで、国民国家より前の時代を封建的な世の中と言
ったりします。もちろん悪い意味でです。
すなわち、専制的・因襲的・閉鎖的であるさまや、上下
関係を重んじて、個人の自主・権利をかろんずるという
意味で使います。
しかし封建社会にいう封建の意味はそれとは全く異なった
ものです。つまり、封侯建国(諸侯を封じて国を建てる)」
を略したものです。 昔からいる諸侯の土地とそこに住む
人たちを安堵、つまり全面的にお任せして余計な口出し
はしないよ、ということです。
その諸侯の領地内でも無数の共同体があり、その経営は
大方そこに住む人々の自由と自主性に任せるというもの
でした。それがローカリズムの一つの理想の姿です。
例えば、中国の歴史を訪ねますと、
古代の聖王と言われる帝尭(ぎょう)という人がいます。
その古代の聖王とも言われる帝尭がなにをしたかというと、、、、
”何もしなかった”、、、のです。
物の見事に”何もしなかった”のです。
ただ手をこまねいたままでも、世はよく治まっていて、天
下の民は誰に治められているのかも知らなかった。
これって私たちが希求してやまない政治のあり方とは言え
ないでしょうか。
近代の国民国家というのは、戦乱の時代のために作られた
社会システムです。中央集権的で、法律で国民をがんじが
らめにした人工的な巨大共同体です。
その証拠に、近代以降の時代は戦争に次ぐ戦争の時代で
したし、今だってそうではないですか。
国民国家では民主主義=国民の政治参加という、パッケ
ージだけで中身も何もない権利の対価として、兵役とい
う、なんとも過酷極まる義務が課せられます。
まるで割に合わない取引です。
そうして、戦乱の時代が続くと人間性悪説が頭をもたげ
てきます。それはそうでしょう、戦いに勝つことが国の最
大関心事であるからです。
そして人間性悪説が世にはびこりますと、人々もお互いに
他人に勝つことだけを考えるようになります。
人間は環境に順応しなければ生きていけないからです。
そうしますと、お互いを信頼し、力を合わせなければやっ
ていけない伝統的共同体のモデルはいよいよ成り立たなく
なります。
国家は性悪説を柱として成り立っていますが、伝統や共同
体や風土といったものは性善説でしか成り立ちません。
しかもそれは人間同士だけでなく自然と一体化した性善説
です。彼らは天や地を敬うことで自らの平和を紡いできま
した。山の民は山の霊を祀り、海の民は海の霊を祀りま
した。霊というのは、死者や幽霊のことなんかではありま
せん。それは私たちの存在の根源を意味する、目に見えな
いもののことです。
ですから、森を乱獲したり、海に廃棄物を垂れ流すことは
私たちの存在そのものを汚し、自滅に追い込むものだと
思うのです。


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Posted by 熊本の結婚相談所むつみ会 at 16:12│Comments(0)社会問題アカデミー
 
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