2015年11月20日
秋風の狂詩曲
むつみ会結婚相談室

秋風の狂詩曲
その1
秋風が冷たくなった
風のすぐ向こうにもう冬空がある
亡くなった母は大正6年の霜月に生まれた
ぼくの知ってる限りの母の半生は
霜柱を踏みしめるような日々であった
春まだき 遥かに遠く影も見せない
そして文字通り家族が心を寄せ合い、
寒さと饑えを凌ぐ歳月が続いた
隣人のこころのぬくもりが身に沁みたのも
赤貧に喘いでいたこのころだった
不思議なもので逆境になるとかえって、
人は礼節を知るものらしい。どんな親切も
困った時はお互い様よの一言で済んだ
すっからかんになると人間は
進化し、突然変異して、共感能力がイルカ
並みになるのを、小学生のぼくはこの目で
シッカと見た。
戦争が大勢の人々の運命を根っこからひっく
り返した。300万人の生命を奪っただけで
なく、たくさんの戦災孤児を生んだ
だけでなく・・・・・
小学校一年になってすぐ、物心もつきはじめた
そのときたった一日で我が家は倒産した。
(少なくともぼくには晴天の霹靂に見えた)
広い工場と自宅の電気が消された真っ暗な中で
お腹をすかせて皆が陰気な顔を寄せ合っていた
ぼくにはただ子供には窺い知れぬことが家族に
起きたのだ,という事だけ痛烈に感じ取っていた
あの夜のあの出来事、天国から地獄へ堕ちてゆ
くような不気味な感覚が、それからのぼくの
60年の人生の原体験となっている。
人生一寸先は闇なのだ!!
(つづく)
むつみ会結婚相談室
秋風の狂詩曲
その1
秋風が冷たくなった
風のすぐ向こうにもう冬空がある
亡くなった母は大正6年の霜月に生まれた
ぼくの知ってる限りの母の半生は
霜柱を踏みしめるような日々であった
春まだき 遥かに遠く影も見せない
そして文字通り家族が心を寄せ合い、
寒さと饑えを凌ぐ歳月が続いた
隣人のこころのぬくもりが身に沁みたのも
赤貧に喘いでいたこのころだった
不思議なもので逆境になるとかえって、
人は礼節を知るものらしい。どんな親切も
困った時はお互い様よの一言で済んだ
すっからかんになると人間は
進化し、突然変異して、共感能力がイルカ
並みになるのを、小学生のぼくはこの目で
シッカと見た。
戦争が大勢の人々の運命を根っこからひっく
り返した。300万人の生命を奪っただけで
なく、たくさんの戦災孤児を生んだ
だけでなく・・・・・
小学校一年になってすぐ、物心もつきはじめた
そのときたった一日で我が家は倒産した。
(少なくともぼくには晴天の霹靂に見えた)
広い工場と自宅の電気が消された真っ暗な中で
お腹をすかせて皆が陰気な顔を寄せ合っていた
ぼくにはただ子供には窺い知れぬことが家族に
起きたのだ,という事だけ痛烈に感じ取っていた
あの夜のあの出来事、天国から地獄へ堕ちてゆ
くような不気味な感覚が、それからのぼくの
60年の人生の原体験となっている。
人生一寸先は闇なのだ!!
(つづく)
むつみ会結婚相談室