2013年07月30日

映画「学校」より・・幸福について

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映画「学校」より・・幸福について



映画「学校」より・・幸福について
















夜間中学なんてあったんだ、この映画観るまで知らなかった。
山田洋次監督にとって、学校というのは永遠で幻のテーマだったらしい。

その乾坤一擲の作品の舞台が「夜間中学」だった。彼らしいなと心底思う。
東大卒の彼が、夜間中学を通じて学校そのものありかたを模索した。

稀代のヒューマニストの面目躍如の、映画監督、山田洋次を代表する傑
作である。



夜間高校でもない、まして夜間大学でもない、なにしろ中学である。読み書
きソロバンができない人だってくる、50歳過ぎてね・・・・。

もちろん非行少女や登校拒否、知能障害、人種差別、なんでもありだ。その
一人ひとりのドラマを実に丁寧に描いてゆく。



そういう前半部分を濃密なプロローグにして、物語は一気に後半へとなだれ込
んでゆく。50歳代の同級生、イノさんの生と死をめぐる展開だ。

井上某という実在の人物をモデルにしたストーリーらしい。不遇を絵に描いたよ
うな人生。小学校もロクに出ていない初老の男が、夜間中学で始めて心が通じ
合う仲間と出会い、学ぶ喜びを満喫する。



しかし彼の悲しすぎる人生は、その肉体深く蝕んでいた。そして卒業を目前にして
儚い命を閉じるのだ。

山田洋次監督はこの切ない物語を、お涙頂戴では流したくなかった。それでハイ
ライトはホームルームでのディベートととなる。



テーマは「幸福」についてだ・・・。イノさんは果たして本当に不幸だったのか、そ
れとも・・・?

自分自身の人生に照らし合わせながら、ひとりづつ答えを探してゆく。

重労働をしながら通学しているカズは、あんな惨めな人生が幸福だったはずがない
かりそめの幸福感があったとしたら、そのこと自体が悲しすぎるだろう。もっと世の中を
恨めよ、という。



焼肉店を経営して、子どもを育て上げ、イノさんと同じように50歳を過ぎて入学した、在
日朝鮮人の女性、オモニはいう。不幸でない人生なんてない、ならば自分が幸福だと思
えば、それでいい。イノさんは幸せだったし、自分だってそうだ。


じゃあ、そう思えればいいということは、幸福も不幸も錯覚なの?という反論が当然のよう
に出てくる。人生とは錯覚なのか?

ここで教室に一旦沈黙が訪れる。それを破ったのが、少年院出の非行少女だったみどりだ。
学校に戻れば、先公はよってたかって犯罪人扱いだし、家にもどればアル中の父親だ。



自暴自棄になったみどりは、シンナーをやり身体をぼろぼろにして、恐喝や売春やればど
うにか生きていけるし、そんなもんだとしょんぼり夜間中学の校門の電柱に座り込んでい
たところに

「どうしたの?この中学に入りたいの?」と優しく声をかけてくれたのが・・・・「このくろちゃん
だったんですけど・・・」と涙ぼろぼろで、担任の黒井先生(西田敏行が好演)を指さす。

その時こんな私でも幸福になれるかもしれない、と思ったんだよ。



ここでお涙頂戴由縁でない、感涙が溢れてくるのだ。結局のところ、お日様のようなあたた
かい眼差しが、ひとのかたくなな心を溶かすんだ。それこそ一瞬にして。

                                   (つづく)


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Posted by 熊本の結婚相談所むつみ会 at 08:02│Comments(0)書評など
 
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