2020年07月26日
映画「学校」より、その3 ・最高傑作は?

映画「学校」より、その3
・・・最高傑作は?
昨日の僕の「学校」の投稿へのコメントで、
Mさんは、山田洋次作品の中での最高傑作はこの作品だと。
またNさんは「霧の旗」(倍賞千恵子さん主演の松本清張
原作の作品)だと。
まあ他にも「幸福の黄色いハンカチ」だとか、「同胞」、
「小さいおうち」だとか、甲乙つけがたい作品が目白押し
です。それでいてオリジナルシナリオ作家で、稀に見る多
作ですから、間違いなく映画界のレジェンドとなる監督
だと思います。
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そこで僕はというと、やはりシリーズを一本の作品と見立
てたら、「男はつらいよ」をナンバーワンに挙げたいなと
思います。
シリーズのスタートは、七十歳の僕がテイーンエイジャー
だった頃、高度経済成長に向けてエンジンがかかりだした
時代、そして世はまさに学歴社会プラス一億総サラリーマ
ン化へと大きな変容を遂げ始めました。
そういう時代背景とは無縁の、自由気ままともいえる寅さ
ん的存在というのはだから、僕も含め多くの一般人にとっ
て、一種の憧れというか、現実とは異なるもう一人の自分
を投影できる良きモデルでもあったわけです。
``
それが半世紀近くのシリーズの中で次第に変遷していくの
が見て取れるような気がするのです。
寅さん自身が変わったのではなく、周りが、僕たちの方が
変わった。そうして当然のように寅さんの見方、受容のス
タンスが、ある意味百八十度変わってしまった。
宿無しがホームレスになり、放浪者が落ちこぼれになって
いった。
もう憧れの存在ではなく、あんな人になっちゃダメよって
子どもに言って聞かせるような反面教師的モデルに落ちて
いくのです。
それをただ時代の流れだ、どうしようもないことだで片付
けてしまうるのか、それとも・・・。
``
山田洋次監督はそういう諦め方に対して、はっきりNOを
突きつけ、警鐘を鳴らしているのではないか。
それがこの「学校」という作品ではないかとも思うのです。
世の中は確かに変わる(変わりすぎ?)、そしてそれは不
可抗力なのかもしれないが、その一方でどんなに世の中が
変わろうとも、変わらない、変えてはいけないものがある
のだと主張している。
そこで学校という舞台をあえて選んだのは、そこが時代の
出発点、僕たちが生きている社会という情報系の司令室に
なっているからではないのか、という気がするのです。
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