2014年05月21日

時空をこえて・1

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時空をこえて・1



 
 
 時空をこえて
                ・・・・・・その1




今日は五月晴れになりそうだ。パソコンのそばの籐椅子の上に
落ちる、早朝の陽射しのベクトルがまだ浅くて淡い。

風採りにと開けた居間のガラス窓の隙間では、白いレースのカー
テンが音もなく揺れていた。




よく阿蘇産山村に遥々と、湧水を汲みに行ったものだった。都という
ならば、東都から遠く離れた、この九州山脈の山なす山のど真ん

中にもある。阿蘇くじゅう界隈は日本の、いや地球の水の都と言っ
ても過言ではない、知る人ぞ知る。地球の大部分が干からびて

いるなんて、ここにいると信じられない。別世界というしかない。




車から降りて、山道をそぞろ歩くと、いたるところに清水が
溢れている。澄み切った水と瀬音は心を洗い流してくれる。

あのラビ・バトラ(インドの経済学者)氏も熊本講演の最後で、老後は
このあたりで過ごすつもりだと言っていた。不可視の吸引力があるら
しい。同感だ。




国道57号線滝室峠をつづらおりに登りきると、やがて大分との県境が
すぐそばだ。

波野の道の駅がある。隣接して小さな蕎麦の製粉場もある。ここらあ
たりは季節になると一面蕎麦の白い花が咲く。

だから足を伸ばすときはお昼は必ずざるそば、ということになる。癖に
なる美味しさだ。



あれはもう十年一昔のこと。例によってざるそばを注文し、妻と向か
い合わせでテーブル越しに座っていた。畳の上の座布団に胡坐をか
いた。

大きな伸びをひとつくれてやると、目線がふわりと浮いた。



その先つに磨き上げられたスクリーンのような大きな窓があった。
窓外には瑞々しいみどり葉が繁茂し、

バージンブルーの空から惜しみなく、光の粒子が生まれ、そこらじゅう
に弾けていた。



僕はそのとき一瞬だが(一瞬で十分だったが)、移りゆく春と夏の、二つ
の季節の隘路で、時の流れがハタととまったように感じた。

それほど美しく、幸福で、静かな歓喜で満たされて、
この世のそれとは思われなかった。

僕というひとつの個体が、時空の中に溶け込んでしまったような不思議
な感覚に襲われた。

至福は時として、こころをこの世ならぬところへと躍らせる。

                               (つづく)



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Posted by 熊本の結婚相談所むつみ会 at 14:00│Comments(0)人生観
 
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