2020年07月30日

パラサイト・半地下の家族

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パラサイト半地下の家族




この作品のどこがどう評価されたのかが、イマイチ分か
らない。
確かに固定化されてニッチもサッチもいかなくなりつつ
ある階層社会への絶望や無力の思いというような問題が
あるのは分かる。
それを映画という媒体を駆使して可視化し、メタファー
としたのは鮮やかな手腕だと思う。
半地下を真ん中にして、地上と地下の住人。
昼なお暗い半地下は、電波も届かず、酔っ払いが立ちショ
ンベンをし、雨が降れば浸水し、すえたような”ビンボー
の匂い”が体にシミ込んで消えない。
一方で、高級住宅地の地上の邸宅は広大な芝生の庭から、
ウオールガラス越しに、眩しいばかりにいつも陽光が射し
こんでいる。運転手付きのベンツ、家庭教師、家政婦、
足りないものがあればすぐ右から左へと手に入る。
地下室にはといえば、誰にも知られず借金取りから隠れる
男が住んでいる。そもそも邸宅の持ち主がそんな地下室が
存在することを知らない。一歩間違えば餓死という状況
下でただひたすら息を潜めている。
``
半地下に住む家族四人は、地上の人種をうまく騙して、
まんまと雇用人として入り込むことに成功する。ちょっと
調子に乗りすぎてしまうが・・・。
彼らにとって雇い主の家族はもちろん限りない羨望の的で、
できれば自分たちもという淡い願望がある。
だが同時にそんなことは到底実現不能だということもわか
っている。
「最高の計画は無計画だ。どうせ計画を立てても破綻する
に決まってるし、そうなってもがっかりしないで済むか
らな」
なんて言い放つのは、お付き運転手として雇われた親父。
その通りの結末、いやそれどころじゃない殺人事件に事は
発展して、半地下から地下の住人へと転落して物語は終わ
る。
``
以上、どんな意味合いでも救われない始末記。考えさせ
られるとか、余韻が残るとかいう要素が見られない、
観ているものものが一緒に奈落の底に落ちていくようなへ
んてこな後味だけが残ってしまう。
このイヤ〜な感じは何なのか?なんて問いかけたくなる
映画なのだ。
同じようなテーマを扱っていても、あの「万引き家族」
には、世の中から見捨てられた同士の情愛みたいなものが
あふれていて、それが一種の詩情へと浄化されていく。
そういう人間ドラマとしてのコアのようなものがあるの
だが、この映画には全く見られない。
ドライというか氷のようなクールさというか諦観というか
怨念というか。
そこには日本人である僕たちにも、隣の大国中国の人た
ちにも、アメリカ人にも分からない、複雑で微妙な民族
的な心情が横たわっているのかな、なんてつい考えてしま
うのである。
理解できる世界と理解できない世界が同居した作品、
そういう側面が審査員たちを惹きつけたのかもしれない。

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Posted by 熊本の結婚相談所むつみ会 at 15:37│Comments(0)書評など
 
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