熊本の結婚相談所むつみ会のブログ

タクト



タクトとは指揮棒のことで、幾つもの旋律を共鳴させて一
つの荘厳な世界を創り上げてゆく。
多情仏心もタクトと言ったりする。情が豊かであるばかり
に、よせばいいのに他人の不幸を見てみぬふりができない
アホなやつのことである。山本周五郎の小説にはそんなア
ホがいっぱい出てくる。しかしそんなアホな奴ほど仏の御
心に叶うという、嬉しい仰せのことである。
政治家も一丁前にタクトをふるうが、大抵の場合ジャイア
ン（ドラえもん）の歌声にしかならない。本人は上手いつ
もりでも周りは堪ったもんじゃない。
資本家とか大金持ちはまだしもタクトの振り具合はある。
むかし、ある資産家が来客に偉そうに講釈を垂れていたと
思ってもらいたい。
「あんたね、いくら才能を持ってたってそれを使わないな
ら才能がないのと同じだよ。善いことだってそうだ、それ
が評判にならないなら善行をしないのと同じだろ」
すると、来客は首をかしげていったものである。
「それじゃナンですな、いくらお金を持っていったって、
それを使わないなら、お金がないのと同じですな」